「陽気」編集部編
二児を幼くして次々亡くし、三人目は流産した。四人目、五歳になった男児が病に冒され死に瀕した時、父親の青年実業家は、一人の女性布教師が説く話に賭けた。男児が大学まで行く費用をお供えした。ただ、死にゆかんとする子のために後悔を残したくない一念だったのだ。男児は助かった。その元一日から生まれたのが東中央大教会、青年実業家とは初代会長・柏木庫治氏のことである。
新刊『人生ニ終なし―父柏木庫治を語る―』の最終校正を終え、印刷所へ入稿した。校正を読むたびに自ずと胸は高鳴り、頬が紅潮した。ありがたい。庫治氏と明子夫人の、愛情こめて人を抱きかかえる信心の一片が、憧れとともに私の胸に居座った気がする。
天理教は明るい教えだぞ、そのことを身をもって示し、説いたのが柏木庫治氏だろう。その元一日には、身を切るより辛い体験があった。何ものにも勝る親の思いが、消えゆくわが子の命を再び輝かせ、やがて万人をたすかる道へと導いたのだ。
(平成21年陽気11月号編集後記より)
2009/12 |